無言館

「やすのりさん ひだかやすのりさん
私とうとうここへ来ました
私を描いてくれたあなたの絵に逢いに・・・
鹿児島から一人飛行機に乗って 人混みの東京から信州のこの美術館に・・・
 私 70を過ぎてこんなおばあちゃんになりました
 やすのりさん ひだかやすのりさん・・・」
と何度も繰り返しその名前を呼びかけていらした
静かな口調で語る吉永小百合の朗読が心に沁みた
一昨夜 テレビで見た

・・・声なき声に耳を澄ませて 吉永小百合とともに・・・

 ここ 無言館は信州上田の緑に囲まれた山の中にある美術館なのだ
上空から見ると屋根が十字架の形をしている
太平洋戦争で若くして命を落とした画学生の絵を集めて弔う為の 慰霊の美術館なのだ
 私も二度訪たことがある
そこに独特な空気を感じた事を思い出した
館長曰く「皆 未熟な絵です 未(み)、未来があった絵なのです」
「描きたい もっとかきたい!」
そう言って死んでいった青年たち 戦争で未来が消えてしまったのだ。

・・・淡谷のり子の慰問での出来事の話・・・
「自分の歌に聞き入ってくれた直後特攻の命令が下りにこやかな顔をし
敬礼をし去っていった平均年齢16歳の戦士たち、死に向かって二度と帰れない
青年たちの事を思うと涙が止まらず歌えなかった」と
戦争が如何に愚かで無駄で悲惨なものなのか改めて思った

「八月や六日 九日 十五日」作者は不明らしいがこんな俳句があると言う
広島の 長崎の原爆 そして終戦
ずっと ずっと終戦であって欲しい

 今日 11日「山の日」は一番上の孫の誕生日!食事を一緒にして先程帰ってきた
18歳になった孫 もう 成人?
今、受験勉強で必死な毎日を過ごしている
小さい頃から
・ば〜ば落ち葉はぜんぶ掃かないで少し残す方が趣がるよ!(なんとおもむきそんな言葉を使ったり)
・気持ちの良い温泉に入った時「気持ちよくて涙が出るね!」そんな事を口にする子なのだ
・「普通がいい」そんな事も
今 そのふつうである事のむずかしさを味わっている様だ
いつか「無言館にある絵」を見せてあげたいと思う