コラム「デーリー東北」を読んで

作家の黒井千次さんが雑誌のインタビューで「老い遅れ」という言葉を使っている。芥川賞の選考委員などを歴任し、84歳の現在は日本芸術院の院長などを務める。言葉に厳しい人があえて辞書に載っていないような言い方をした。
 老いにあらがい、若さを追い求めるアンチエイジングは、考えは立派かもしれないが、年不相応ではないのか。「老いるべきときに老いていかないと、老い遅れます」(『サライ』3月号)。
 若い世代が若さを発揮するのは自然なことだが、老人には若者とは違う身の処し方があるはずだ。それなのに、やみくもに若さを追求するあまり、年齢を重ねてきた者にとって大切な生き方を見失っては具合が悪い。
 「健やかに老いてゆくのが理想」と言う黒井さん。医師の勧めで健康のために散歩をしているそうだが、運動というよりは気分転換の意味の方が大きいらしい。年相応をモットーに、自然体で老いと付き合っている姿が浮かぶ。」
「老いるべきときにおいてゆく…」
この言葉にノックアウトされた!
自然でいいんだ…と